3月1日の朝日新聞夕刊に有期労働者1,410万人という記事が掲載されました。この数自体は、そうなのか位にしか思いませんでしたが、記事を読み始めてみると「一方、職場での呼び方による分類では、パートや派遣、契約社員など非正規労働者は1,823万人だった。非正規でも約400万人が無期で働いていることが推定される。」と書いてあります。なんと非正規雇用労働者のうちの20%超が契約期間の定めのない無期労働契約ということになります。もう少し詳しく知るために総務省のホームページを閲覧したところ、3月8日付での広報資料中の統計Today№61、3/1付労働力調査速報他で掲載されていました。新聞記事とは数字が若干違っていたものの、やはり約400万人が無期契約ということになるようです。しかも、前述の非正規労働者1,823万人の内訳は、パート905万人、アルバイト364万人、派遣社員121万人、契約社員246万人、嘱託104万人、その他83万人となっています(3/1付労働力調査速報による)。そのうち契約社員と嘱託は無期契約とは考えにくいので、それを除くと残りは1,473万人です。ということは、パートが905万人なので按分比で行くと約240万人のパートが無期契約で働いていることになります。もっとも、前述の統計Today№61では、パートは326万人となっていますので統計によって数字が大きく乖離しています。 どちらの統計が正しいのか分かりませんが、どうやらパートという労働形態で働いている人たちの中には、無期雇用契約で働いている人たちが多くいるようです。パートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことです。この定義からすると、契約期間は問わないことになりますので、無期雇用契約でも違法ではありません。しかし、一般の雇用情勢からするとパート労働者が一般の社員と同じ無期雇用契約であるというのは、いささか違和感があるのではないでしょうか。労働契約はどうなっているのでしょうか。定年の定めはあるのでしょうか。労働契約書もなく、ただ単に口約束で労働した時間に応じて賃金が払われている状態なのでしょうか。もし仮に、契約の何もなく事実として何年もパートとして働いていて、定年も余り関係ないとすると将来的にトラブルになる可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。 前述のように既に約240万人ものパートタイマーが無期雇用契約で労働していることになると、4月から労働契約法が改正されて、有期労働契約が5年間を超える時点で無期契約に転嫁することになりますが、現場の方が法律よりも先を歩んでいることになりかねないですね。パートタイマー用の就業規則を制定している会社も少ないように思いますが、将来に禍根を残さないためにも、これを良い機会として労使双方で話し合い、就業規則を作成し、改めてきちんと契約を結び直したいものです。
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