60才以降の継続雇用について

皆さんもご存じのとおり、今年4月から高年齢者雇用安定法が改正されて、企業は60才以降の雇用を希望する労働者全員を雇用しなければならなくなりました。現在は61才までの義務ですが、特別支給の厚生年金の支給開始年令が引き上げられることに伴い、平成28年4月からは62歳まで、以降3年ごとに1才ずつ雇用義務年令が引き上げられ最終的に平成37年4月1日からは65歳までの雇用が義務付けられることになっています。この雇用義務の内容をみますと、義務付けは年齢のみであり、契約については何も制限がありません。つまり、60才以降の雇用条件については、就業規則で定めるなり企業と労働者自身が協議して決定することになります。就業規則に継続雇用時の処遇が定めてあれば、それに従うことになりますし、定めていなければ過去の例を参考にして労働条件を企業と労働者自身の話し合いが決定することになると思われます。もし、企業と労働者自身の話し合いが不調に終わった場合はどうなるかというと、継続雇用できないという場合もありうるということになります。現実的には、今までと余り違わないのかもしれません。しかし、60才のベテランが退職するということは、それまでの長年積み重ねてきたスキルやノウハウを企業が失ってしまうということを意味しています。良い意味での企業文化や伝承がなくなるというのはさみしいような気がします。そうならないためにも企業は計画的な人員計画・配置をすることが重要になってきます。余人をもって代えがたいというような人材については、週5日制ではなく週3~4日で働いてもらうとかの工夫が必要になってくる場合も考えられます。つい先日、65才以上の人口が3,000万人を超したという新聞記事が掲載されていましたが、これからも高齢者人口は膨らむ一方ということですから、企業もこれからは60才以降の労働者の雇用について、検討し直す良い機会ではないでしょうか。